(2014/10/07)
平井景 meets つの犬 ~初ドラム・デュオ「風神雷神の巻」~
この週末、私にとって刺激的で貴重な経験になったライブがありました。
「平井景 meets つの犬 @横浜ドルフィー」のドラム・デュオ。ドラマー・つの犬さんと平井景による、二人だけ。ドラム二台による、初チャレンジのライブ。
事前に一日、音合わせをし、互いにイメージを膨らませて、本番に臨みました。
打楽器の音しか存在しなかったはずですが、どの曲もまるで、メロディーを持った“楽曲”に聞こえたのではないでしょうか。
例えば、こんな曲。私が譜面ではなく、図を描いて提示した「一日の風景イメージ」。
平井景の得意とする、ドラムの音で風景を描く曲。そこに、つの犬さんの音が加わる。それに触発され、平井のドラムが変化していく。二人が描く風景は、自然発生的にどんどんと展開され、大きなスケールになっていく……それはまるで映画音楽。
つの犬さんの用意した、キメキメ、リズムのユニゾンが多用される難曲もいくつかありました。二台のドラムから繰り出されるリズムの振動を、想像してみてください。身体が自然に動き出す感覚に、どっぷり浸っていただきました。
この写真。告知用に、我々二人の写真を並べてみたのですが、なんだか「風神雷神図屏風」のよう。これを音で表現した場面も多々あったと思います。
「ドラム・ボクシング」と呼ぶ(笑)、ドラムソロ合戦あり。お客さん参加型のアンサンブルあり。アンビエント・ミュージックのように、淡々としたリズムに心癒されるシーンもあり。ドラム二台のリズムの渦に巻き込まれ、鼓動が舞い上がるシーンもあり。ドラマー談義にも花が咲きました。
ライブ時間が足りなくなるほどの、個性的で盛りだくさんの内容に、アンコールの拍手がやまないほどの反響をいただきました。
つの犬さん、めちゃくちゃ上手いのですが、それだけにとどまらず、本当に広い音楽性、アイディアの豊富さに驚かされました。先輩ドラマーの胸をお借りして、ドラムの可能性の大きさを、一層、感じる一日になりました。
つの犬さんと私。ドラマーとしての経緯も、フィールドも、音色も違う。ドラムの音には“言葉”がないので、まるで異世界の人と交流している感覚。
でも、全部、分かる! 互いの気持ちまで見える!
同時にドラムを叩きまくるシーンになっても、補い合い、助け合い、寄り添い、愛情のある「怒涛の音の渦」。まさに私の若い頃には、まったくできなかったであろう“音楽”になりました。
かなりマニアックに思えるチャレンジ企画にも関わらず、たくさんのお客様にお越しいただけて、こういうパフォーマンスに興味を持たれる方々もおられることがわかり、今後の活動への大きな心の糧になりました。
「イヤー、ものすごく楽しかった!!」との声も多くいただき、お客様にとっても、予想以上の発見と驚きと可能性を感じられたのではないかと確信しました。
この日に持った、音に対する“研ぎ澄ました感覚”。
常に忘れずに演奏に望みたいと、目覚めるものがありました。
それにしても、2時間半、ドラム叩きっぱなし……。滝のような汗をかき、「ライブが終わったら、ひと回り痩せてる」(笑)と、その場にいた方々に言われました。ドラム・ダイエットDVDでも出しますか。やはりポイントは呼吸です。
これからまた楽しみな活動、「一つの宝物」が増えました。もう私の頭の中には、ガンガンにドラム世界の大きなイメージが広がってます。