(2010/02/28)
小学校にドラマー乱入?
先日、東京のとある区立の小学校で、音楽の特別授業をしてきました。
“授業”と言うと堅苦しいですね。子供たちと音で遊んできたんです。
で、なんと!通常の授業時間に、教室でドラムを叩いてきました。
もともとこの話は、小学2年生を受け持つある先生から
「子供たちのために何らかの授業をしてもらえないか」とのお申し出があり、
「特に、リズムの面白さに焦点を当てた、簡単なワークショップ形式の
活動を考えましょう」との結論に。
今までも「芸術観賞会」という形で、体育館やコンサートホールでの演奏を
プロデュースしたことは何度もあります(たとえばこちら)。
でも、それは音楽授業をミックスしたコンサートであり、しかも相手は中学生〜高校生。
多少の難しい話や楽曲も許容範囲内です。最終的には「ガツーンとカッコイイ演奏をして
楽しませるぞ」っていう落とし所がありますよね。
でも、今回は教室だからバンド演奏はできないし、相手は8歳の子供たち。
う〜ん……何を伝えたらいいんだろう……。
「とにかく試しに一度、遊び心で楽しくやってみませんか?やってみないと改善点も見えないと思いますよ。だんだん
ステップアップしていきませんか?」との先生のお言葉。
ベテランの男性教師とドラマーという、珍しい組み合わせによる話し合いです。
それなら、自分らしくできることをやらせてもらおうと、こんな授業をしました。
まず、私はドラマーなので、みんなにドラムを聞かせたいと思いました。
それで、ドラムセットを教室に持ち込んで叩いたのです。
みんなで一緒に、足で「ドン」、手拍子で「タン」と踊りながら、リズムを表現してみたり。
みんなが普段弾いている鍵盤ハーモニカ(ピアニカ)のメロディーで、
ドラムやパーカッションと合奏もしました。同じメロディーでも、
異なったドラムパターンで合わせてみて、その違いも感じてもらえたと思います。
最後はみんなでドラムを囲み「サンバ大会」です。
ピアニカはメロディー・パートとベース・パートに分かれ、
シェイカーやサンバホイッスルなど、いろんなパーカッションもみんなやりたがりました。
行き当たりばったりの内容ではありましたが、私自身、とても楽しい貴重な時間でした。
はじめて体験するであろう楽器の音に、無心で聞き入る子供たちの表情は、
とても生き生きしていました。
以下は、先生の学級通信から。
「3〜4校時は、平井景さんに来ていただきました。そして、とても楽しく充実した音楽の授業になりました。
ドラム演奏の素晴らしさはもとより、ちょっとしたリズムの変化で感じ方が大きく変化することや、
体全体を使ってリズムを感じ取りながらの演奏は、身も心も楽しさがアップすることなど、
たくさん学ぶことができました。終了後、撤収作業がお忙しいのに、
子どもたちが必死にサインをねだる姿からも、今日の授業が実り豊かなものだったことが伺えると思いました。
感謝の気持ちで一杯です。3年生になったら、今度は多目的室に学年全員を集め、
本格的な演奏を聞かせていただく機会を得たいものだと、強く強く思いました。」
そして、生徒のみんなからも、お礼のお手紙をいただきました。
一部、ご紹介します。みんなカワイイですね。
「今日はお忙しい中、重い荷物を持って、2年1組まで来てくださって、本当にありがとうございました。ドラムの演奏はとてもきれいでした。いろいろなことを教えてくれて、ありがとうございました。ドラムの演奏では、見ていたら、私もやってみたいなあと思いました。ブラシはとてもきれいな音がして、すごいなと思いました。私が一番気に入った楽器はベース・ドラムです。足踏みや手拍子はとても楽しかったです。また、『汽車は走る』の演奏では、ドラムと『汽車は走る』の演奏がぴったり合うとあんなにきれいな音がするのとは、思っていませんでした。私は体がリズムに乗ってなく、真っ直ぐなまま演奏をしていました。でも、平井さんが教えてくれたから、体を動かして演奏することにします。今日は本当にお世話になりました。また来てください。その時はできるだけ一杯楽器を持ってきてください。よろしくお願いします。」
「今日は、私達のために演奏をしてくれてありがとうございます。ドラムの説明やバチの種類とか、ドラムの特徴とかを教えてくれてありがとうございます。私が気に入ったのはハイハット・シンバルです。かっこいい音が気に入りました。シンバルもかっこよかったです。私はシンバルの音が大好きです。私は踊るのは別にしなくてもいいと、最初は思ったけど、踊ると楽しいなっていう思いが伝わってきました。また来てください。」
「今日は忙しい中どうもありがとうございます。今日、僕はタンバリンをやらせてもらいました。楽器紹介の時、ハイハット・シンバルがすごいと思いました。バチを変えることによっていろいろな音を出していました。特に僕がすごいと思ったのはブラシでやったら本当に汽車が走っている感じがしたことです。『汽車が走る』で、僕は踊っていたら、後ろにお母さん達がいるから恥ずかしかったけど、リズムに乗ったら面白くてたまりませんでした。」
「踊りながらやると言ったからジャンプをしてやった。一番勉強になったのは、首も動かしてうなずきながらやったら、もっと音楽が楽しくなった気がした。勉強中ものりのりになりながらやろうかなぁ。また今度来てね。今度はピアノを弾いてね。」
「今日は、僕達のために2年1組に雪の中、楽器を持ってきてくれてありがとうございます。最初の自己紹介の時、平井景という名前を初めて知りました。ドラムの説明でも、タムやハイハット・シンバルとかの説明もとっても分かりやすかったし、バチによって音が変わるって思ってもみなかったです。平井さんがドラムで演奏しているところもかっこよかったです。あと、弾いててお腹にものすごく響きました。『汽車は走る』でもドラムと合わせると思ったよりとっても音があってびっくりしました。僕は今まで演奏は姿勢よくやるものだと思ってたけど、踊りながらの方がやりやすいし、乗ってくるのがとっても楽しかったです。僕は『汽車は走る』でも、練習ではそんなうまくできなかったから自信がなかったけど、踊ってやったら何だか手が勝手に動くみたいに、見違えるようにうまくなって、とっても面白かったです。あと、いろんな楽器があって、シンバルとか見たことがない楽器がありました。ドラムで演奏している時も楽譜無しでできて、ドラム自体が難しいのに、そんなこともできてすごいなぁと思いました。最後に合奏もとってもうまくいってよかったです。ありがとう・・ございます。今度来てくださったなら、僕が演奏している『山の音楽家』を聞いてください。今日は本当に楽しかったです。」
「今日は僕達のためにどうもありがとうございます。今日持ってきたベース・ドラムが一番大きいのですごいなと思いました。ドラム演奏は右手左手右足左足、リズムがそれぞれ違うのですごいなと思いました。僕は音楽が嫌いだけど、平井さんが来てくれたおかげで、音楽が好きになりました。手拍子で一杯遊んだので楽しかったです。『汽車は走る』でマラカスを貸してもらい、ありがとうございました。体を一杯動かして楽しかったです。自然と段々体が動いてきたので、とても楽しかったです。また来てください。」
「重たいドラムを雪の中、わざわざ学校に持ってきてくださって、真にありがとうございました。ドラム演奏はすごく心にぐっと来て、素晴らしい演奏でした。リズム遊びで私は手拍子でした。『汽車は走る』の時に、私とあと3人前に出て、メロディオンをドラムスと合わせてやりました。平井さんが教えてくれたおかげで、皆と息が揃うようになりました。音楽は弾くだけではなくって、踊りながら体全体でやることが分かりました。また、学校に来ていろいろな私たちが知らないことを教えてください。」
あの小さな体と目の奥には、無限の可能性を秘めている。素晴らしい存在たち。
その彼らの小さな心に、ほんの少しでも何かを残せたのなら、こんな嬉しいことはありません。
貴重な機会を与えてくださる三宅先生と学校関係者の皆さまに、心から感謝申し上げます。
【後日追記】
この小学校へは翌週にも訪れ、なんと2年生の全クラスで音楽授業をさせてもらいました。
クラスによって、個性も全然違うんですね。
男子は恥ずかしがり、女子が元気なクラス。ドラムソロに合わせて、男子が踊り出すクラス。
興味津津で目がキラキラな子供。とにかく自分も楽しもうとする子供。
みんな可愛くて仕方なかったです。
人それぞれ、成長のスピードや方向性は違うのですが、
外から分かりにくくても「何かを感じるココロ」はみんな持ってるんです。
そのココロを感じることができた貴重な時間でした。
全ての生徒さんからお手紙をもらいました。
上記でもご紹介しましたが、丁寧に心のこもったしっかりしたメッセージの数々。感動です。
それから、こんな喜びの表現をする子もいました。
書いてるうちに、ココロが遠くまで飛んだのですね。
こういう自由な文章を整頓させない大人でいたいです。
「平井さんへ
ドラムをまじかでドラムをみせてくれて、ありがとうございます。
ぼくの父はドラムとかギータ(ギター)がすきです。いつも父はいつもきくときがあります。
給食のときに平井さんのCDをききました。レストランみたいで、楽しく給食を食べられました。今日は3時間目(音楽授業)が一ばん楽しかったです。今日は楽しくなって楽しかったです。ぼくはドラムをつかってみたかったです。平井さんとなかよくなって楽しかったです。おどりも楽しかったけど、一ばん楽しいのは、平井さんと一しょにドラムや、きしゃの(汽車のような)ドラムのことがよくわかりました。ドラムはさわれなかったけど、とても楽しかったです。平井さんのドラムにあわせておどるのが、とっても楽しかったです。
●●小学校にきて、またえんそうして、おどって、ぼくはおかあさんに言って、おとうさんにも言って、おとうとにも言って、いもうとにも言って、ほめてもらいます。
おかあさんとおとうさんがビックリするくらいに言って、あと、あばあちゃんに言って、じいじにも言って、おにいちゃんにも言って、でまえのおじいちゃんおばあちゃんに言って、となりの人に言って、となりのとなりの人にも言って、すごいですねって言って、6年生のおともだちにも中学生のおともだちにも言って、おおさわぎになるぐらいになって。
○○より」
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