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(2013/04/16)

「ぼくらの未来白書」~小学校でゲスト・ティーチャー~

新・中学一年生のみんな、ご入学おめでとう!

小学校の卒業式、そして、中学校の入学式。あちこちの桜が満開でしたね。そんなタイミングでの門出とは、これは日本が世界に誇るべき最高の演出です。

最後のランドセル姿を見送る親御さん、どんな思いを持たれたことでしょう。そのお喜びたるや如何ばかりか。

そして、中学への入学初日、期待と不安で緊張したのは、子供だけではなかったはずです。想像するだけで、私も胸に込み上げるものがあります。おめでとうございます。

そうそう。あの“彼ら”も、無事に巣立っていったようです。


それは昨年の秋のこと。東京都のある小学校へ「ゲスト・ティーチャー」として、ドラムセット持参で招かれたことがあります。その時は、全ての6年生120名とご父兄、先生方の前で、60分を超えるちょっとした講演会&ミニライブになりました。

オファーしてくださった方は、とても熱いハートの持ち主。以前のエッセイ『小学校にドラマー乱入?』(2010/02/28)にご登場のベテラン先生です。去年は、また別のみんなのために、ふただび学校へ来てもらえないかとお便りをいただきました。

お願いされたテーマは【 未来への夢 ~音楽家の道に進むとは 】

先生曰く・・・「子供たちは、将来の夢を実現しようにも、その方法も実態もまるで見えていません。無謀であろうとも「夢」をもっている子は、まだ健全です。日々、目的もなく暮らしているのが、今の子供の大多数ではないでしょうか。」と始まりました。「夢を持たない子供が多い」と、先生方が危惧されているのです。

そしてこう続きます。「そんな実態への反省から、私たちも何らかのアクションを起こそうと思いました。“好きな道に進むとは”この究極のキャリア教育に挑戦です。しかし現実は、誰もがどこかで妥協しながら生きています。平井さんの熱い思いを、どうか子供たちに話してやっていただけませんか?」とのことでした。

うーん。。。ハードル高いですねー。

その日の一発目はドラムソロからスタート! 「ドラム叩くのが仕事なんだよ」って伝えたくて。みんな驚きの歓声とともに、大きな拍手をくれました。

まずは、今どんな仕事をしているかを簡単にお話しし、つぎに「プロドラマーになる決心をした時のこと」、「どうやって夢を実現してきたか」、そして「この道で生きるために何をしているのか」など、ちょっと熱くお話ししました。

その時に、私が一番言いたかったのは、「人生で、無駄なことなんて、一つもない」ということです。

私が小学生だった頃は、とにかく陽が暮れるまで友達と遊んでいました。大声あげて走り回る毎日。林や森を探検して感じる、木や土の匂い。落ち葉の感触。虫や鳥の鳴き声。

田んぼのあぜ道で遊んでいるうちに、おたまじゃくしがカエルに変わっていく様子も、リアルタイムで見ていました。用水路でのザリガニ釣りも工夫が必要です。

星の観察が好きで、天体や宇宙の仕組みを調べ始めたのは小4の時でした。この頃、貯めていたお年玉を使って、赤道儀式の天体望遠鏡を買いました。人生初の大きな買い物でした。いろんな本を参考にして、天体写真も撮ったものです。

そう。いまの私にとって、音楽の創作活動は、「自然への憧憬」の念に突き動かされている気がします。その源は子供時代に培われました。外で遊んでて良かった!作曲するたびにそう思えます。

また、10歳の頃に魅せられ、それから35年の歳月を費やしている「ドラム」ですが、続けていられるのは、そのドラムだけではなく「音楽全体」が好きだからだと思います。幼少時代から、家のレコードを引っ張り出しては、次から次へと聴いていました。音に耽る、自分だけの時間でした。

楽器のスタートは、電子オルガン。当時のビクトロンです。小学時代の6年間、習っていました。中学に入るとギターを触ってみたり、大学生になるとアルバイトでベースを買ったり。プロ活動を始めてから作曲をするようになったのも、「ドラムだけではない」そんな土壌があったからだと思います。

さらに、「映像と音楽の関係性」を強く意識した活動をしていますが、小学~中学~高校時代と、3本の8ミリ映画を自主制作して気付いたことが、大きく影響しています。

そもそもは小6の時、「8ミリカメラと映写機、台本と役者、あと音楽があったら、それはもう映画になるのではないか」と思い立ち、第1作目を作ったのがきっかけです。私は、監督、主演、脚本、撮影、編集、音楽担当でした(笑)。小学生でも、8ミリフィルムを切ったり貼ったりして、アフレコもしてたんですよ!

「何かに興味を持つと、それに没頭してしまう」私のこの性質は、小さな頃から変わらないんですね。「やりたくなったら、せずにはいられない」よくぞ両親は、そんな私を放任してくれていたものです。

考えてみたら、一度も、「勉強しろ」「そんなことやめろ」なんて言われたことありませんでした。それはそれで、自分への危機感からでしょうか。中3以降は大変に勉強もしました。学問も凝りだせば、面白いものです。

新中学生のみんな! 「やっても意味のないことなんて、一つもないよ!」

成績につながらないって思うことも、いつか役に立つ。こんな勉強しても使えないと思うことも、脳みそ動かす訓練だ。脳は使えば使うほど、鍛えられてグルグル回転するようになる。

音楽などの芸術、そしてスポーツも、柔らかい“脳”と“身体”と“ココロ”が育つよ。

友達と遊んでいる中で、人とのコミュニケーション、社会を学ぶのだと思う。これはメールやインターネット上での付き合いではダメだ。


人生で、無駄なことなんて、一つもない

回り道にも、寄り道にも、素晴らしい世界がある。実際に見て、聞いて、感じて、、、そうして得られた「知」というものが、その後の“判断の基準”になる。“発想の源”になる。“行動力”を生み出す。そんな風に思います。

私も、これまでのいろんな「知」を総動員して、なんでも仕事に結びつけてやれ!って気持ちで活動しています。

子供たちには、どんなことでもいいから「夢」を持ってもらいたいなぁ。そして、みんなに「楽しいそうでいいなぁ」、「好きなこと仕事にできたらなぁ」って感じてもらえるような、そんな大人になれたらと思います。

「やりたいことをやって生きていく」って、すごく人間的で、大事なことだと思う。そこには情熱があるわけで、だからこそ、その成果にはものすごいパワーがあるんだと思います。

かく言う私も、まだまだ夢の途中、、、いや序章かもしれません。


その日の講演会は、途中にミニライブをはさみました。ギターがめちゃ上手い男の子とのスペシャル・セッションです。最初の一音からガツンとくる演奏になりました。

観ていた子供たちの気持ちを想像してみてください。いつも一緒に遊んでいる友達が、自分の目の前でプロミュージシャンと共演してるんですよ。みんなは一点集中、彼だけを見ていましたね。「おおーー!」って大喝采でした。

皆からもらったあの大きな拍手と歓声は、彼にとって、これからの大きなココロの糧になると思いました。

その後は、質問コーナーがあり、子供達と会えた喜びと「日の出」を表現したドラムソロで、その日は締めくくりました。

授業時間が終わっても、先生には内緒で、サインを求めにくる子達がたくさんいまして。みんな、あの黄色い学校帽を差し出す。ほんとにいいのぉー??って聞いたんだけど。。。それからと言うもの、その小学校界隈には、私のサイン入り校帽をかぶって登下校する子供たちを見かけるようになったとさ(笑)。

生徒全員が書いてくれた120通のお手紙は、私の宝物です。

みんな、細かなお話までしっかり聞いてくれて、ドラムの音もココロで感じてくれたことが、とてもとても丁寧に書かれていて、ジーンと感動しました。本当に素晴らしい経験をありがとうございます。

私の夢も、まだまだ尽きませんよ! お互い、夢を持ってがんばろう!!