中学校1年、剣道部員だった私は、
クラブの練習を終えて重たい防具を担ぎながら家路についておりました。
知らない家から、
ものすごくリアルな"ドンドンタン・ドカドンタン"が聞こえてくる!
「これはドラムの音に違いない!!」
それが生まれて初めて近くで聴くドラムの生音でした。
その家の裏にある空き地にまわると、
閉まっている雨戸の、もうその向こうで誰かがドラムを叩いている。
その時の興奮は今でも忘れられないです。
しばらくそこでじーっと座って、
その家の中から聞こえてくる"ドンドンタン"に聞き入っておりました。
そのうち、どーしても、どーしてもドラムセットというものを見たくなって、
その雨戸に向かって、小石を投げ始めました。
カチャーン、カチャーン・・
「中にいる人が気付けばいいな。顔出さないかな。」と。
どれくらいだったか小石投げを繰り返していると、
遂にその雨戸が開きました。
その当時で大学生だったお兄さんが
窓の外に知らない中学生がいるので、ビックリしてたのを覚えています。
「あのー、ドラム叩いてるところを見てみたいんですが・・。」
「えっ?あー、はぁ・・。ええよ。そしたら表から入って来て。」
部屋に入れてもらい、しばらくはお兄さんの演奏に聞き入っていました。
もしかしたらヨダレを垂らしてたかも・・。
「ドラム、自分でも叩いてみる?」
「えー、そんなん結構です。・・そうですか・・いいですか・・」
そのとき貸してもらったお兄さんのドラム・スティックが
初めて握る本物のスティック。
菜箸に慣れていた私にとって、それは随分太くて重たく感じました。
本物のドラムセットに座って、憧れの"パカパカ踏むシンバル"に
足をのせる!!
"ドンドンタン・ドカドンタン〜"
菜箸歴が2年あったので、いきなりリズムらしきものが叩けたのでした。
お兄さん曰く「結構、叩けるやん!」
その時のスティックをプレゼントしてもらい、
興奮覚めやらぬ私は、
家に帰ってからも更に太いそのスティックで
家中の椅子や座布団を叩きまくったことは言うまでもありません。
その後、どれくらいの椅子や座布団を叩き壊したかなぁ・・。
・・・こういう話しをしていると、ほんと初心に帰るというか・・。
今は毎日でも叩くことのできる自分の楽器がある。
当たり前のことになっているなぁ・・・。
この"慣れ"はあかん!!
あの頃の私にとっては、今の自分は最高の幸せ者やん!!!