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(2001/06/09)

家庭菜園

昨年から、丸7年住んでいた横浜を離れ、
東京都練馬区の端っこに住んでいる。
この辺りはまだ畑もたくさん残っていて
比較的のんびりした雰囲気を楽しむことができるが、
それでも東京23区内。

我が家の敷地も舗装されており、ベランダもコンクリート。(当たり前?)
「緑が足りない」ということで、
先日、"細ねぎ"の種と安い土を購入し、
近くのスーパーでもらってきた発泡スチロールのデカイ箱に植えてみた。

なぜ"細ねぎ"か?
育てやすいということと、
私は料理を何でも自分で作れるので薬味に大量のネギを消費するから。
"花を愛でる"という清い心をあまり持ち合わせていないようで、
つい、実用的なものに走ってしまう。
それでも、"何かを育て、成長の過程を楽しむ"という喜びは
得られるものだ。


横浜にいたときの住み家は
いわゆる"ハマ"の印象とは程遠い内陸部(?)の田舎にあり、
伊豆の山奥にでも来たかのような場所。
家の前には林があり、10秒も歩けば眼前に広がるは
農業専用地区とやらの畑。
1時間程度の散歩コースには事欠かない。

あるとき思い立って、
玄関先の敷地を掘ってみた。
そこに土を入れて、何かを植えたかったのだ。
舗装されてはいない土地なのだが、
その敷地内を駐車スペースにしていたと言えばお分かりのように
それはもう強力な粘土質!
10cm掘るのにもどれほど労力がいるかは、想像に難くないであろう。
しかしながら、いつのまにやら、
とり付かれた様に穴を掘りつづける自分がいた。
丸一日、太陽の下で汗をかく。
頭の中には、ドラマ「北の国から」のテーマソングより
"さだまさし"の歌声が流れる。 気分はもう五郎さん(田中邦衛)。
結局、玄関扉を開けた両サイドに畳2枚分、深さ30cmの穴を
掘ってやった。

そこに植えたのはやはり花ではなく、枝豆と大葉。

数日後の大家サンとの会話。
おめぇ、家の前を掘っただろう。」
ドキッ!!
「あれじゃ、だめだ
ン??
「ちゃんと肥料足さないと、なんも育たねぇべ。
裏の家のニワトリひっつかまえて、鶏糞まかせろや。」
ガクッ。
そう、裏の家には俺が寝る頃に必ず鳴き始めるニワトリ達がいたのだ。

その年の夏に食べた手製の枝豆の上手かったこと!
少量ではあったが、香りも甘味も抜群!!
大葉も「これでもか」と言わんばかりにワンサカと育つ。
驚いたことに、毎年勝手に生えてくる。
種族保存の本能、おそるべし。

しかし、都市周辺の開発というやつは
そんな"田舎"が楽しめる場所や残しておきたい風景が相手であろうと
一向に気にしない。
道路計画とマンション建設のため、
年々まわりの木々は伐採され、
ご近所サンの家が次々立ち退きで取り壊されいくといった様を
悲しい気持ちで見ていた。
ニワトリのいた家も無くなった。
最後に我が家も取り壊しの為、引越しを余儀なくされたのであった。
無数の鳥たちやタヌキの親子はどこへ行ったのだろう。


今朝は、数ミリ程度の芽を出し始めたベランダの"細ねぎ"たちに
米のとぎ汁を与えた。
喜んでいた
・・・・・・・・・・・・
ように思えた。


うー、なんとミュージシャンらしくないお話だこと。

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